これさえ聞いときゃ間違いない!今日の1曲

聞くものに悩んだらこれを聞け

【69曲目】Subterranean Homesick Blues (Bob Dylan, 1965)

はい、「僕と振り返るボブ・ディランの歩み」シリーズの3回目でございます。 今回は1965

年のアルバム「Bringing It All Back Home」より「Subterranean Homesick Blues」です。Radioheadファンの皆様はこのタイトルにピンと来てる方も多いのではないかと思いますが、彼らのアルバム「OK Computer」に収録されている「Subterranean Homesick Alien」はこの曲をもじっているわけですね。さて、まず今作で最も特徴的な事柄は何かと言うと、とうとう電化したという点にあります。で、彼の辿ってきた経緯もありこれはフォークロックであるとかどうとか話題になるのですが、その流れを追体験していると、個人的にはどっちかっていうとブルース的なフィーリングのほうが支配的なんじゃないかなとも思います。フォークの貴公子がエレキギターを手にしたのですからその衝撃はさぞ強かっただろうと思いますが、そういった大胆な変革の一方で、アレンジとしてはフォークの弾き語りのようなものも複数収められており、意外と漸進主義的な側面も見えますね。あともう一つ指摘しておきたいこととしては、今後数回にわたって同様の出来事が起こる模様ですが、従来と違って彼はこのアルバムで大胆に歌唱法を変化させているという点があります。キャリアを経て不可避的に歌声の変わるボーカリストは少なくはありませんが、その多くが段々と上手になったり下手になったり、音域は狭まったり拡がったりという理由により行われるのに比して、彼は明らかに攻めの一手として、曲調に合わせて声色を使い変えているという点はかなり特徴的だと思います。また、拍内にメロディが収まらず半ば強引に捻じ込むような歌い方は、Subterranean Homesick Bluesをお聞きいただければわかるように、今作を特徴づける大きな要素となっております。日本においては、吉田拓郎桑田佳祐中村一義などに多大な影響を与えていると言えるでしょう。一説によるとラップの始祖だとかいう話もあるけどそれはちょっと眉唾のような気もしないでもないですが。まあ話はそれましたが、いまのところ彼のアルバムで一番好きな作品がこちらだと個人的には感じております。

 

Bringing It All Back Home (Reis)

Bringing It All Back Home (Reis)