これさえ聞いときゃ間違いない!今日の1曲

聞くものに悩んだらこれを聞け

【49曲目】Degraded (Preoccupations,2016)

なんかすげえ良い新人見つけた!と思ったら、なんと、去年Viet Congというバンド名でセルフタイトルのデビューアルバムをリリースし、私も年間ベストからは漏れましたものの激賞しておりましたカナダ出身のバンドが、中身はそのままに変名したバンドがPreoccupationsだそうです。いや改名してたなんて全然知らなかったよー。ちなみに改名の理由はというと、まあ言うまでもないような気がしますが、その名前の持つ差別的なニュアンスが由来でして、英語版Wikipediaのページ(Preoccupations - Wikipedia, the free encyclopedia)には以下のようにあります(筆者訳)。

バンドは、ベトナムのベトコンを連想させるその名前ゆえに、頻繁に論争に直面し、レイシズムや文化盗用の観点からの非難を受けた。また、2015年3月には、Oberlin Collegeでのライブが決まっていた彼らだが、その「攻撃的な名前」のために中止となる事態にもなっていた。

同年9月、自身のFacebookページにて、「僕らはファンのために音楽を制作し演奏するためのバンドなのであって、人々を傷つけたり、過去の残虐な出来事を思い起こさせるためにここにいるのではない」として改名を予定している、という投稿を行った。

とあります。ちなみに別ソースによるとオーストラリアでの公演も同様の理由で中止になっていたとかで、Viet Congというバンド名めっちゃ尖ってるな〜とか能天気に考えたりもしていましたが、流石にセンシティブなところを突きすぎていたようです。そして、これらの問題によっぽど懲りたのでしょうか、バンド名としては文句のつけようのないPreoccupationsと名乗るに至ったというわけですね。さて、彼らの昨年からの混乱について紙幅を割きすぎましたが、ようやく肝心の音の話をさせていただきますと、基本的には前作Viet Congを踏襲した路線になっております。いわゆるポストパンクの範疇として語られることの多い彼らですが、私としてはもっとSonic YouthのようなN.YアンダーグラウンドNo Waveの流れで語られるべき音なのではないかと思っております。ただ、前作よりは物々しさというか、只ならぬ雰囲気のようなものは若干後退し、多少は聞きやすい方向にシフトしつつあるのではないかと思いますが、それも全体としては微々たるもので、やはり彼ららしい、地下っぽい匂いのムンムンする良作となっており、今はなきSonic Youthキッズである我々にダイレクトヒットしてきます。色々あったようですが、音としては変わってなくて安心、この路線で引き続き頑張っていただきたく思います。

 

 

Preoccupations

Preoccupations